久保原信司(くぼはら・しんじ)
1995年サンパウロのカポエイラの先駆者メストリ・ブラジリアについてカポエイラを始める。96年に一時帰国。デカセギ・ブラジル人のカポエイリスタ達を集め、中部地方を中心にさまざまなイベントに出演してカポエイラをアピール。97年4月に再びブラジルに渡り、99年12月までカポエイラの練習、研究に打ち込む。帰国後、名古屋で
カポエイラ・ヴァジアソンを結成。
ブラジル滞在中はサンパウロの邦字新聞社、帰国後はブラジル総領事館、ポルトガル語新聞社などに勤める傍らカポエイラの普及に努める。 2006年以降はカポエイラ指導のほかポルトガル語教育にも専念。2011年現在、6つの大学での非常勤講師やブラジル駐在員の事前研修などを請け負う。
その情報量と詳細さで日本中のカポエイリスタが訪れる総合情報サイト
「カポエイラ入門」「ビリンバウ入門」の制作・管理人。カポエイラ・グッズ、とくにCDの品揃えでは世界トップクラスを誇る
「カポエイラ・ショップ ビリンバウ」の運営人。
■修士論文「カポエイラの地位上昇過程について −黒人奴隷のシンボルから国家的スポーツへ」(1996.3)
■サンパウロの邦字月刊誌『ブンバ』(6号/1999年)に「カポエイラ入門」を執筆
■(財)海外職業訓練協会『海外事情14』 「ブラジル」の項を執筆(2000.3)
■『Vamos cantar camará −カポエイラ音楽の手引き』(2004.5)
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難しいのはオリジナルへと発展させていくことです。
それを成し遂げるために僕は、単に知識だけでなく感性や表現力を鍛えなければいけません。
のは結構最近で、始めた頃はやっぱり決まった型がないと何していいかわからなかった気がします。今はヘネもよくやるように、「ひとりカポエイラ」にも違和感なく取り組めるけど、前は全然だめだった。でも最近は「それぞれの形でやる」ってことが団体内で定着してきたんだなと思う。それが当たり前っていうか。最近新しく入った人も、最初からそういう風に習ってるせいか、ちゃんとそれぞれ自分の動きができててすごい!!
形はやっぱり根底にあるべきだと思います。
セクエンシアもメストリの長年の経験の結晶だと考えます。
そこからスタンダードを身に着けるのも大事だと思いますし。
そうやってくうちにカポエイラの呼吸や間合いとかが自然と身に着いていって
自由は確かな裏付けのその先だと思います。
とはいえいつもこの手の話題になると感じますが
なにより各人の中での『自由』のニュアンスをつかむのが
一番難しいです(苦笑)
なっちが言うようなヴァジアソンの共通言語、ヴィジョンは、メストリ・ブラジリアの説く「pergunta & resposta」です。この点については新しいメンバーにもかなり共有されていると私は感じています。動きそのものよりも、相手との関係性を優先して立ち回るというのが、新しい人たちもよくできているというのを昨日の練習でも感じました。なっちがヴァジアソンに入ってから今日までのジョーゴの変化も、まさにこのビジョンの結晶だと私は見ています。すごく良くなったし、ヴァジアソンらしくなったと思いますよ!
先日、金沢GUETOのバチザードの打ち上げで、グランジのスタイルはヴァジアソンらしくない、全然他のメンバーと違うのはなぜか?それでグループとして成立するのか?といった意味の質問を、うけました。
それにたいして、
ヴァジアソンの目指すところは「如何にそれぞれがそれぞれであるか」ということだと俺は理解しているので、そう見えたのなら俺はそれを体現できているということだね。
と答えて置きました。
俺の理解であながち間違いではないですね。
「pergunta & resuposta」に関してはこれはブラジリアに限らず、むしろカポエイラの共通言語ではないですか?これなくしてカポエイラは成立しない。ただ、傾向としてどのような質問をし、それに対してどう答えるか、ここにグループの色がでる?
「カポエイラは会話だよ。」という比喩から読み解くに、グループごとのスタイルの違いとはそれぞれの地方ごとの方言やいわゆる土地柄のようなもの?
グループとは?、如何なる動機で入ったにしろカポエリスタにとってのヴァーチャルな意味での住処、勿論引越し可能。
ただカポエイラという世界に生を受けた場所、これはカポエイラ生に置いて一生消えないし消せない、たとえグループを移ったとしても。だからこそシコリ、確執、軋轢が生ずる。情があるが故に。
その「情」のしがらみをも巧みにいなす技術こそがカポエリスタの求めるものの一つである様に思います。
それはいい答え方をしたね。質問した人に逆に聞いてみたいのは、グランジ以外のヴァジアソンらしさって何?ってことですね(笑)。
「pergunta & resposta」については、グランジの言うようにまさにカポエイラのエッセンスですね。同時に私がブラジリアに叩きこまれたヴァジアソンの根幹でもあるということです。往々にして今日のカポエイラは「pergunta & pergunta」あるいは「movimento > jogo」です。
質問の仕方や語彙は、同じ先生に習っている以上ある程度の共通性は出てくるかもしれませんが、私としては最終的には個人レベルのものだと考えています。だからグランジがペドロと全然違って、アスーカやカンナとも誰とも似ていないのは、素晴らしいことです。